ちはやふるの最新刊41巻をkindleでダウンロードしました。
博多から小倉に向かう新幹線の中で読んだんですが、片道たった1駅15分の旅路にも関わらず3回泣きそうになりました。
41巻も感動ポイントがたくさんありましたが、4歳の娘を持つ親としては詩暢ちゃんがクラスメイトに放った言葉が強烈でした。
例えば子どもに『YouTuberになりたい』と言われたらどうしますか?
急速に変化する時代を生きる上で忘れてはならない心構えが描かれたちはやふる41巻の感想です。
もくじ
ちはやふる41巻のあらすじ
ちはやふる41巻には第209首から213首が収録されています。41巻における登場キャラクターのそれぞれをまとめます。
千早
来年度から五番勝負となったクイーン戦を前に元クイーン渡会・猪熊から指導を仰ぐ。着実な成長を見せるも、初となるクイーン戦に向けてのプレッシャー、孤独感に苛まれるが。。。
詩暢ちゃん
スノー丸の丸丸堂から支援してもらうため、インフルエンサーとしての地位確立を急ぐ詩暢は、新の家を訪ね対戦シーンをYouTubeにアップしていく。連戦連敗。その余波は良くも悪くも広がっていき。。。
新
突然訪ねてきた詩暢ちゃんからの挑戦に対し、連戦連勝を重ねる新。しかし諦めずに挑んでくる詩暢ちゃんについに敗戦。敗れたことを機に自分の目指すべきかるたを再認識することに。そして千早に電話をした新は。。。
太一
新に勝ったら周防久志に願いをひとつ聞いてもらいたかった太一。しかし惜敗し『久志を実家に帰らせる』という願いが果たせなかったため、太一自身が久志の実家・長崎を訪ねてみることに。そこで見た久志の家族とは。。。
かるたを”仕事”にしたい詩暢ちゃんに感動
詩暢ちゃんのYouTuberとしての活動が学校にバレて、親が呼び出されることになってしまいました。
心無いクラスメイトからは、
『かるたがやりたいんやのうて、それを利用して有名になりたかったんやねぇ』
と代わりに言い返してあげたくなりましたが、詩暢ちゃんは僕なんかよりずっと大人です。込み上げる想いをグッと飲み込み、静かに語ります。
バイトの情報誌とか見とると、書道とかピアノの先生とか募集がたくさんあるんや。時給とか日給とか書いてあって。なんて豊かなんやって思う。でもかるたは違う。かるたの先生をお給料のある仕事として募集してくれてるとこなんてない。
うちはそれを変えたいんや。
OLとかパン屋さんとかすでに名前のある職業に就くんやろ?皆さんは。
うちは有名になりたいんやない!
仕事を作りたいんや!
やりたいことをやる人生
ちはやふるの主要メンバーって高校生なんです。だからかるたに没頭できているわけです。彼らが社会人になれば、競技かるたで生計を立てて行くのは難しいという現実もあるので、きっと就職することになる。
クイーンになったからといって高額な賞金がもらえるわけでもないようです。だからまずはかるたをメジャーにして競技人口・スポンサー・収入発生源を増やさないといけない。
詩暢ちゃんはその現状を打破するために戦っているわけです。大好きなかるたを続けられるように。
身近にドリームサポーターがいた幸運
詩暢ちゃんががんばろうと思ったきっかけはおばあちゃんの言葉でした。
『若く美しく世界一強いあんたがプロになれなんだら、だれもならん』
かるたで食べていける人になれる可能性が一番ある人間だと、おばあちゃんが言ってくれたわけです。これがもし『食べていけないことをやっているんだから早く現実を見ろ』とか言われていたとしたら?
詩暢ちゃんは一瞬にして情熱を失っていたかもしれません。子どもの夢に対して大人がどんな声をかけてあげるかは、その後の人生を大きく変えるターニングポイントになるので細心の注意を払わなければなりません。
自分の話で恐縮ですが、高校生の頃『有名人になりたい』とふわっと思っていた僕は福岡のとあるタレント養成所のオーディションを受けました。そして合格しました。入所費用として数十万円必要でした。両親は入所費用と毎月のレッスン代を出してくれました。モデル・タレントとしての仕事がない時期がすごく長かったですが、その間もサポートしてくれました。就職活動もしませんでしたが、それに対しても何か言われることはありませんでした。おかげで今があります。
善意のドリームキラーになっていないか
例えば、
『食べていけないことをやっているんだから早く現実を見ろ』
ということを”子どもの将来のためを思っているから言ってるんだ”という人がいるかもしれません。そういう人のことを善意のドリームキラーと言います。良かれと思って言ってるわけです。でもそれが相手の可能性を摘み取ることになっていることに気付いていない。
どれだけ相手のことを思っていようが、自分から出てくる助言というのは自分の経験の中からしか出てきません。自分が経験していないことに対してポジティブに考えるのはなかなか難しいことです。
もし今、自分の周りにドリームキラーしかいないと感じている人がいたら、詩暢ちゃんのおばあちゃんや、一緒にスポンサー探しやインフルエンサー活動に協力してくれている結川さんや小石川くんのような人を探しましょう。
子どもの夢に対してどう向き合うか
子どもに『かるたを仕事にしたい』と言われたらどうしますか?詩暢ちゃんの実力、想いがあれば後押しする人がほとんどだと思います。
でもそのバックボーンを置いといて『かるたを仕事にしたい』と言われたとしたらどうします?これって『YouTuberになりたい』に似てる気がします。どちらも守備範囲外の球が飛んで来たような感じ。
YouTubeになりたいと言われたら、ネットの便利さと恐ろしさを教えないといけないし、スマホやパソコンを使えるようになるのは当たり前で編集ソフトも使えないといけないし、撮影技術、構成技術、発想力、トークスキルなどなど身に付けなければならない能力がたくさんあります。
そういったことを子どもと一緒にやってみる人なのか、それとも早く現実を見て欲しいと思ってしまっているのか。それがドリームサポーターとドリームキラーの分かれ目なんじゃないかと僕は感じています。
AIやロボットが躍進し変化が著しい時代なので、今の子供たちが就職する頃にどんな職業が存在しているかは想像もつきません。だから、どんな可能性にも柔軟に対応できる思考でいることが親の務めなんじゃないかな、と思ったりしています。
SNSの功罪も
YouTube・フェイスブック・アンチスレッド…
太一がフェイスブックで久志の実家を探し当ててしまったり、詩暢ちゃんがYouTuber活動を始めてみたり、またその反響をアンチスレッドを見て落ち込んでしまったり。
ネットやSNSの功罪も描かれていた41巻でした。
ネットやSNSとの向き合い方は3年A組の柊先生の授業を受けるのが一番です。
