仕事・現場の話

映画『未来のミライ』声優・上白石萌歌さん・細田守監督インタビュー。

現在公開中の細田守監督最新作『未来のミライ』はもうご覧になりましたか?細田監督作品ならではのリアルな人物描写、家族の素晴らしさ、ワクワクするようなファンタジーとリアリティが自然に溶け合う界面活性感を存分に楽しめる映画でした!

公開前にインタビューをさせていただいていたのですが、遅ればせながら、テレビではOAできなかった部分も含めて書き起こしました。くんちゃん役の上白石萌歌さん細田守監督の想いが伝われば幸いです。

未来のミライ・インタビュースタート

僕:萌歌さん、1か月ぶりです。

「羊と鋼の森」のインタビューで萌歌さんと姉の萌音さんを約1か月ほど前にお迎えしたばかりでした。

萌歌さん:元気でしたか?(監督に対して)以前もすごく楽しく取材していただいて、今回もきっと楽しく、お話をしてくださると思います。

僕:僕もすごく楽しかったです。(ドヤ顔)

萌歌さん::あはっ(笑)

ようこそ福岡へ

僕:萌歌さんは1ヶ月ぶりの福岡ですがどうですか?

萌歌さん:やっぱいいですね。地元(鹿児島)に近いのもあって、すごくリラックスしながら過ごしています。

僕:今回街をぶらぶらしたりということは?

萌歌さん:今回はまだですね。

細田監督:このあとぶらぶらしようかなと思ってますけどね。

僕:お二人で行こうかってなるんですか?

細田監督:まぁ二人プラス15人くらい(笑)

僕:細田監督は富山出身でいらっしゃいますが福岡でのプライベートな思い出はありますか?

細田監督:2年前に山笠を見に来まして、朝、厳かな中でじっと見ておりました!

僕:まさに今山笠シーズンです。(この日は7月10日)

細田監督:今そうですよね?

僕:どんな距離感で見られたんですか?

細田監督:できるだけ近くで見たかったんだけど、人がすごく多くて。たくさんの人が待っていて。目の前を通過するのを四層ぐらいの人越しに背伸びしながら「あぁ」と思いながら見てました。

僕:監督のお言葉から映像が浮かんでくるようです。細田作品の中での山笠も見てみたくなりました。

細田監督:いいですね。まさにお祭りとか、一種の静けさ、儀式というか。神聖なものがありますよね。そういったものが街の中にあることに憧れちゃいました。

くんちゃん4歳、萌歌さん18歳

僕:4歳のくんちゃん、男の子役ですが演じてみていかがでしたか?

萌歌さん:そうですね。まずはエネルギッシュだなと思って。4歳の男の子ってこんなにも全身で生きてて。それをやるってなると自分もくんちゃんに体を捧げるというか、私も全身で演じたいなという気持ちで演じました。それがどう届くのか楽しみです。

僕:実はもともとくんちゃんの予定ではなかったんですよね?

萌歌さん:そうなんですよ!実はこの(ポスターを指差しながら)中学生の女の子の未来ちゃん役として、年齢が近かったのもあってオーディションに参加をしたのですが、ブースを出る際に「ちょっとこれも読んでみてくれない?」って渡されたのがくんちゃんの原稿で。その場で披露して、結果としてくんちゃんの役をいただけることになりました。

僕:監督、オーディションというのはある程度の予測は立ててらっしゃると思うんですが、萌歌さんがそこを突き破ってきたということですか?

細田監督:おっしゃる通り、本当にそうで。予測としては4歳の男の子はきっと小さな男の子かベテランの女性のどちらかが演じるんだと想像してたんですよ。そしたらね、僕、ピンときて萌歌ちゃんに「くんちゃんの役もやって」ってお願いしたんです。座って聞いた瞬間にまさか本当に18歳の素敵な女性の胸の中に4歳児がいるって思わないじゃないですか。でもそれがいたんですよね!それを見つけた時にはびっくりして!自分で選びながらびっくりして、あまりにも驚いたんでペットボトルのお茶を進呈しました(笑)よかったよーって。

僕:そのぐらい落ち着いてはいられなかったと。

細田監督:オーディションでそんなことはないんですけど何かあげたくて、ペットボトルのお茶が3、4本あったので「これ持っていきなさーい」みたいな(笑)

僕:萌歌さんはご自身の中に4歳の男の子がいるとは思っていらっしゃらなかったと思うんですが、4歳の感情の爆発って大人が想像する以上ですから体力もお使いになったんじゃないですか?

萌歌さん:自分の中にはそんな存在はいないと思っていたんですが、でもくんちゃんを演じて、あ、なんか自分の中にも激しく怒ったりとか泣きわめいたりとか、そういう感情があったんだと思って。でもそれって、これから見ていただく皆さんの中にもきっとくんちゃんのようなむき出しの感情みたいなものがきっとあるんじゃないかと思って、その気持ちを代弁するつもりで演じました。

細田流アフレコ

僕:声を録るときはブースの中で一人なんですか?豪華共演陣の皆さんもいらっしゃったんですか?

萌歌さん:細田監督の作品はですね、必ず皆さん、同じシーンはブースの中に入って声を録るんです。私はてっきり一人で録ってそれをつなぎ合わせるものだと思ってたんですけど、やっぱりブースの中で生まれる生のお芝居というか、コミュニケーションもあるし。そういった意味で声だけでお芝居してる感じはなかったですね。

僕:躍動感を感じました。監督、やはり同じ場所で録りたいという思いがおありなのですね。

細田監督:自分でもやっぱりそういう風にしないと、空気が違っちゃうとね、一緒にいるお芝居をしててもなんだか遠くにいることがわかっちゃうっていう気がするんですね。だから皆さんお忙しい方ばかりだからスケジュールを合わせるのは大変なんだけど、一緒にやることでお芝居や人物の表現が何倍にも膨れ上がるんです。相乗効果でね。”わーっ”と想像以上のものがお芝居として表現されるっていうことが経験上わかっているので。今回も皆さんすごい人たちですけども、一緒になって演じてる姿をうしろから「すごいなぁ」と思いながら見てました。

僕:あまり指示は出されないのですか?

細田監督:キャスティングの時点である程度決め込んじゃって、そこからはむしろ演じる方のアイデアとかひらめきとか”力”っていうのを聞きます。自分の想像以上のものが欲しいなと思うので自由にやっていただくことが多いですね。

僕:萌歌さん、挙げていただくのは難しいかとは思うんですが、どなたとのどのシーンが特に印象に残っていますか?

萌歌さん:うーん。。。そうですねー。。。謎の青年役の福山雅治さんとのシーンはすごく記憶に焼きつくっていうか。ね。やっぱり生でお会いするとすごくオーラに圧倒されました。でもお芝居が始まるともうそこには青年とくんちゃんしかいなくて。気さくな一面が福山さんにもあって、すごくいい時間を過ごさせていただいたなと感じています。

僕:緊張される部分もあったと思いますが。

萌歌さん:そうですね(照)

僕:優しい言葉とかかけてくれたり?

萌歌さん:「アフレコはどのくらい続いてるの?大丈夫?」というようなことを。。。

僕:「大ぁぃ丈ぉ夫ぅ?」(福山さん風に)

萌歌さん:はははっ!!!!

細田監督:はっはっはっはっはっはっ!!!面白いですねー。積極的ですねー。さすがです。

お気を遣わせました^^;

構想3年

僕:監督の作品はファンタジーがいつの間にかリアリティになっているというところが本当にすごいなといつも感じています。この未来のミライプロジェクトは約3年前に立ち上がったそうですが、その起点はなんだったんでしょうか?

細田監督:3年かかる制作期間の中でも、とっかかりってすごい身近なところから、なんでもないところからスタートするんですよね。例えば今回だったら、モデルであるうちの子どもに下の子ども、赤ちゃんが生まれて、その赤ちゃんが生まれた時に親の愛が全部赤ちゃんに行っちゃうもんですから、上の子が嫉妬して床にひっくり返って泣いてるっていう(笑)そういう姿を見た瞬間にはっと閃いて、さっき萌歌ちゃんも言ったけど、これってなんか人間の本質的な愛を求める姿だって思って。そういう姿ってひょっとしたら自分の中にもあれば、皆さんの中にもあるかもしれないって感じると、これは「子どもだけの話ではなく、みんなの話になる」っていうことを思って。そういうところから映画ってスタートするんですよね。

僕:リアルさを感じるんです。星野源さん演じるお父さんのダメっぷりというとアレですが、家事育児が追いついてない感じとかが、私も4歳の娘がおりますのでめちゃくちゃリンクして、たまらなく胸が痛くなりました(笑)

細田監督:いや、だけどね。ちゃんと父親をやったり、しっかりしてるお父さんですよっていう人っていうのはかえってなんか裏があるんじゃないかって気がするんです。むしろ不器用だったり、お父さんになりきれてないくらいのほうがかえって真実味があるというか。ハルさんにもそういうリアリティをすごく感じてます。お父さん的なところに。今っていうこの時間、子ども達と育児みたいなものに関して一生懸命取り組んでるんだなっていう感じが、目の充血してるところから感じます。

僕:全然娘が言うこと聞いてくれないんですよ!

細田監督:ははははは!

僕:お父さんお母さんたちにも見ていただきたい作品です。優しい気持ちにもなれますし。

細田監督:そうですね。

いつの時代の誰に会いたいですか?

僕:未来のミライにちなんで『あなたの未来は?いつの時代?誰に会いたい?』というのをお伺いしてもいいですか?作品の中にも様々な時間軸が出てきます。お二人が個人的にどの時代に行って誰に会いたいかをお考えいただきたいのですが。

萌歌さん:これは過去でもいいんですか?

僕:もちろんです。

細田監督:僕は未来方向かもしれませんね。

僕:自分の子供時代はくんちゃんのような経験はしてないんですけど、自分の子どもを見てると「くんちゃんみたいな経験をしてるから急に成長するのかな?」と思ったりはしました。

細田監督:子どもってすごい不思議な存在っていうかね、知らない間にひゅっとできるようになるのを見ると、その間に何があったんだと、親の見てないことがあったんじゃないかって思うとすごい不思議な存在ですよね。

上白石萌歌さん→高橋是清

萌歌さん:高橋是清さま!

細田監督:歴史上の人物ですねー。

僕:その心は!

萌歌さん:過去と未来だと私は過去を選んだんですけど、私は自分の過去を超えた歴史上の人物の高橋是清さんがすごく好きで。高校の時に日本史で習って、明治維新を動かしたり、総理大臣をしたり、外交官だったり、学校の先生だったりっていう、あ、英語を教えたり。

細田監督:英語のスペシャリストですよね。

萌歌さん:すごく革命を起こした人っていうのが、やっぱり高橋さんかなっていう(笑)

僕:今をときめく俳優みたいな言い方をしましたけど(笑)

萌歌さん:そうですねー。自分の受験期の時に高橋さまの生き様に勇気をもらったので。直接会って「がんばりなさい」って是清先生に言っていただきたいです。

僕:男性を見る時にこのハードルを課したりはしないですよね?

萌歌さん:あ、しないです(笑)

細田監督:ものすごい髭面の人じゃなかったですっけ?その髭伸ばすのかなり時間かかりますよね。

萌歌さん:凛々しいんです。是清先生

細田監督→未来の息子さんと娘さん

僕:細田先生は12年後の息子さん(17歳)と娘さん(14歳)。

細田監督:今は5歳と2歳なんで12年経つとちょうどこの映画の中の未来ちゃんくらい。うちのまだ2歳の子がこうなったらどんな女の子になっているんだろう。上の子は今は「電車電車」って毎日言ってますけども、この頃は何に目をキラキラさせているんだろうっていうのが楽しみですね。

僕:子どもたちと触れ合う時間はたっぷり取れていますか?

細田監督:今日なんかも「今から福岡に行ってくるよー」というと「いってらっしゃーい」と二人とも寝そべりながら言ってくれてました。朝早かったので。

萌歌さん:(監督は)すごく家族思いなんですよ。

細田監督:すごいインスピレーションをたくさん彼らから受けていて、こんなに子どもが身近にいる生活っていうのが一種の豊かさや楽しさを提供してくれるとは思っていなかったので、とっても大事にしたいなと思っています。

僕:そのエッセンスは未来のミライにも入っている、と。

細田監督:めちゃくちゃ入ってます!

テーマソングを山下達郎さんが担当

僕:達郎さんの歌に始まり、達郎さんの歌に終わります。

細田監督:この映画っていうのは時空をめぐる旅をしますけども、達郎さんの歌そのものが時代を飛び越えている曲が何曲もあるでしょ?それがもうね、すごいなぁと思って。この映画のテーマを達郎さんの曲によって時空を飛び越えたパーマネント(=永続的)な価値を持つ曲がこの映画に合わさるとすごく嬉しいなと思ってお願いしました!

そろそろお時間が…

萌歌さん:4歳の男の子が主人公ということで、本当にくんちゃんという男の子が可愛くて、自由の象徴のように思いっきり泣いたり笑ったり怒ったりする姿に、どうか皆さんの心を重ねていただいて、心を開放していただけるような映画になればいいなと思います。家族の縦の繋がりだったりとか、ご自身の子供時代に思いを馳せながら、大切な方とぜひ未来のミライみてください!よろしくお願いします!

インタビューを終えて

萌歌さんが覚えてくれてたのがまず嬉しかったです(笑)しかも楽しい思い出として覚えてくださっていて。福岡だとあの人がいる、この人だと安心だ、と思ってもらえたならば、ローカルインタビュアーとしてこんなに光栄なことはありません。1か月という短い間隔で再び会えたことからも、上白石萌歌さんの勢いを感じました。まだまだ18歳。たくさんのことを吸収されている最中。これからどんな役、仕事を経て、どんな女優像を築き上げていくのかが楽しみです。

細田監督は本当に気さくに話してくださる方でした。すごい監督でありながら、目の前にいらっしゃるのは普通のお父さんのようでもあり。細田監督のどの作品からも人のあたたかさ、ぬくもりを感じずにはいられませんが、それはまさに細田監督のお人柄なのだと感じました。インタビュー前日は妻と『おおかみこどもの雨と雪』を見て号泣したばかりでした。大好きな作品をお作りになる監督から『父のリアリティを感じる』と言っていただけたのは最高のご褒美でした。

萌歌さん、細田監督、ありがとうございました!

未来のミライ予告動画

未来のミライオフィシャルサイト
http://mirai-no-mirai.jp/

注釈

高橋是清

日本の幕末の武士(仙台藩士)、明治、大正、昭和時代初期の官僚、政治家。立憲政友会第4代総裁。第20代内閣総理大臣(在任 : 1921年〈大正10年〉11月13日 – 1922年〈大正11年〉6月12日)。栄典は大勲位子爵。幼名は和喜次。財政家として知られているため総理大臣としてよりも大蔵大臣としての評価の方が高い。愛称は「ダルマさん

Wikipediaより

 

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