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NHK彼女は安楽死を選んだ|感想書き起こし|スイスライフサークルとは?

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NHKの『彼女は安楽死を選んだ』という番組を夫婦で見ました。

日本でタブー視されているからか公の場で話題になることは少ない安楽死ですが、僕は割と口にすることが多い言葉だったりします。

『自分が死ぬ時には安楽死で死にたい』
『自分がもし病で先が無いとなった時には安楽死が法で認められている世の中であって欲しい』

ということは真剣に願っています。

僕は死ぬ時はいずれ来ると割り切っています。

ただ自分の死に対しては割り切っていますが、家族の死に対しても割り切った考え方をしているわけではありません。

は死ぬこと自体がイヤだと思っている人です。自分の死家族の死に対しても絶対に割り切れない思いを持っています。

だからとしては出来るだけ長生きしないとなと思っています。

でも“その時”はいつか必ずやってきます。

番組の取材対象は安楽死することを選んだ女性と、彼女に寄り添った家族。

正解がないことだからこそ、言葉を尽くし理解を深め合っていました。

番組を最後まで見ましたが、答えは見出せないままです。

でも考えることが大事なんだと思います。

“死”を考えることは“生”を考えることでもあります。

安楽死することを選んだ女性が望んだように、議論が深まることを願うばかりです。

もくじ

安楽死を選んだ女性の言葉

多系統萎縮症を患う51歳の女性

  • 多系統萎縮症を患う
  • 全身を襲う激しい痛みを薬で抑えている状況
  • 話す力も徐々に失われている
  • スイスでの安楽死を希望
  • 自分の尊厳を守りたいと思っている
  • 死のあり方を巡る議論が日本でも深まることを願っている
  • 四姉妹の三女
  • 両親が幼い時に別れたため姉2人は妹を可愛がってきた
  • 高校卒業後ソウル大学へ
  • 独立心の強い女性だった
  • 卒業後は韓国語の通訳として活躍
  • 40代半ば児童養護施設で働く道を目指す
  • その矢先に病の告知を受ける
  • 姉たちのすすめで地元へ
  • 妹は県外で暮らしている

多系統萎縮症とは

進行すると体の機能が奪われ、命を延ばすためには人工呼吸器や胃ろうが必要に。原因も治療法も充分には分かっていない。

女性の言葉

私が寝たきりで天井をずっと見つめてても、苦しがっている様子を見ても、生きててほしいって言いますか?

最後は2人(姉たち)に一緒にいてもらえて本当に幸せありがとう。心から感謝してる。

笑顔が作れなくなってる。

「私が私であるうちに安楽死を施してください」

※スイスの安楽死団体に送ったメールの件名

確実に私が私らしくなくなるんですよ。それが怖かった。天井を見ながら毎日を過ごし、ときどき食事を与えられ、時々おむつを替えてもらい、はたしてそういう風な日々を毎日過ごしていて、それでも生の喜びを感じているのか、生きていたいと思っているのか自問自答するわけです。

自分で死を選ぶことができるということは、どうやって生きるかということを選択することと同じぐらい大事なことだと思うんです。私の願いでもあるんですよ。安楽死をみんなで考えることは。

姉と同居時の女性のブログ

体が動かなくなっていくことへの戸惑い

よく手から物を落としたり、平坦な道で転倒してしまったり。

初めて姉のそばで四つん這いで動作した時、私は姉の顔を見ることができませんでした。私の心も正直痛かったです。その光景を見たときの姉の心中も想像に難くないのです。

生きようとする姿も

行く度にがっかりするだけの受診ですが、姉たちと笑いながら一緒に過ごすこのひとときがかなり気に入っています。心の底から面白いと感じられることがあるこのことを拠り所にしていかなくてはと思うのでした。

訪れた転機

医師から紹介された病院を姉と一緒に訪れた時、将来自分が必要になると言われていた人工呼吸器をつけた患者さんを目の当たりにしたそうです。

病院を訪問後まもなく女性の部屋の布団の下に、スカーフをつなぎ合わせたものを見つけます。

長姉:あんた、もしかしたらいけないことを考えているんじゃないのって。それで問い詰めたら最初はとぼけてましたけど、自分はいずれ寝たきりになって、今度はおしめを替えてくれても「ありがとう」も「ごめんね」もろくに言えなくなる。人にしてもらって「ありがとう」が言えなくなる人の気持ち考えてみたことあるかって。

一旦思いとどまるもその日の夕方に自殺を試みる女性。力が入らず未遂に。

しかしその後も自殺未遂を繰り返し、安楽死という最期のあり方を考えるようになったそうです。

ライフサークルとは?

スイスの安楽死団体

希望者は団体に登録し、安楽死を受けるまで会員として待機。現在会員数は約1660人。日本人は3年前から登録し始め、がんや神経難病の患者など17人に上るんだとか。

エリカ・プライシック医師の言葉

2018年には8人の日本人が加わっています。今年はすでに6人の申し込みがあります。急激に増えていると感じています。

スイス人が最も重要視しているのは自らの権利を行使したいということです。生きることも死ぬことも私に与えられた権利だと思います。いつどうやって死ぬのか、自分の希望に従い決めるのが大事です。

日本における安楽死の現状

日本では患者の延命措置を中止したり差し控えたりすることは消極的安楽死と呼ばれ終末期医療の現場で行われ始めている。

一方で患者に致死薬を処方したり、または投与する積極的安楽死は国や医療学会のガイドラインで認められていない。これまで医師が罪にに問われたこともあり、医療界では踏み込まれた議論は行われていないそうです。

積極的安楽死を行なっている国や地域

  • カナダ
  • アメリカ
    ・オレゴン
    ・ワシントン
    ・バーモント
    ・カリフォルニア
    ・コロラド
    ・コロンビア特別区
    ・ハワイ
    ・モンタナ
    ・ニュージャージー(8月施行予定)
  • コロンビア
  • オランダ
  • ベルギー
  • ルクセンブルク
  • オーストラリア
    ・ビクトリア(6月施行予定)
  • スイス

スイスでは?

スイスでは民間の安楽死団体が海外からも希望者を受け入れている。患者自ら医師が処方した致死薬を服用・点滴する方法。

安楽死は住民投票などを経て何度も議論され、その中で死の在り方を選ぶのは個人の権利だという考えが国民に広く支持され、法律の解釈で容認されているとのこと。

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焦る女性

ライフサークルに緊急に対応して欲しいとメールを送ろうとする女性。

団体から「希望者が殺到し対応が遅れる」と伝えられ焦っていた。

だんだんキーが打ちにくくなっちゃって。

私の体の進行具合を考えて3〜4ヶ月後なんて海外に行ける体力があるかしらって疑問に思いますよね。もう(メールを)送りますよ。本当に私はこれから死の道を歩んでいくんだなっていう。それは自分で少し自覚をしました。

向き合い方に悩む姉たち

毎日のように自殺を考えて苦しんでいた時のことを考えると、逆に私たちが取り乱すこともよくないだろうなって。本人を悲しませることになるし、もちろん日本では認められていませんから誰にも伝えることもできなかったし、誰にも相談することもできなかったし。

安楽死を思いとどまるよう説得し続けた妹

妹さんからのメッセージには『鎧を脱いで、家族の助けを得ながら生きてほしい』と書いてありました。それに対して女性は、

私に鎧をとってこれからは何もできない人で過ごすのもいいって。反発心もあったけど、反面それを認めている自分もいたのよ。

家族の力を頼ろうとしない自分に気づかされた、負担をかけて生きる将来を思い描くことができませんでした。

周りの人間も苦しいお互いに疲弊することが容易に想像できたんですよ。

説得を続けた妹さんの番組スタッフへの手紙

姉の病気は大変重くて絶望しかないように思いがちですが、こんな私でも生きていていいんだと、人の力を借りないと生きられない自分でもいいんだというふうに思ってほしかったんです。安楽死でない方向へ気持ちが向いてほしい。その一心でした。

スイスへ

安楽死に必要な主要件

  • 耐え難い苦痛がある
  • 明確な意思表示ができる
  • 回復の見込みがない
  • 治療の代替手段がない

安楽死を遂行できるかどうかは以上の要件を満たしている必要があるため、いつでも誰でも受けられるわけではないようです。

スイスを訪れた姉妹を揺らす医師の言葉

エリカ・プライシック医師:あなたは本当に死ぬことをのぞんでいますか?

女性:I want to die.

エリカ医師:もし彼女がスイスに住んでいて長距離移動しなくて済むのなら、こんなに早く死を選ばなくてもよかったはずです。あなたには今から二日間考える時間があります。もし考えが変わったらいつでも家に帰ることができます。決めるのはあなたです。

女性:キリがないんだよ人間なんて。いつ死んでも今じゃないような気がするの。私だってひょっとして今じゃないかもしれない気持ちはなきにしもあらずよ。

長姉:私たちは間違ってることをしてるんじゃないんだよねって。本当にこれでいいんだよねって。まだ私は早いかなぁって。もう少し後に延ばそうかっていうふうに、本人の言葉があったらいいなという思いもどこかでありましたね。

エリカ医師:自分が死にたいからといって家族を傷つけてはいけません。大切なのは本人がきちんとお別れを言い、家族が本人の気持ちを尊重することです。

別の医師による診断

別の医師による最終診断。この時点で安楽死に該当しないと判断されることも。姉たちは思いとどまって欲しいと思う一方で、ここで帰ればまた自殺を考えてしまうのではと不安に。

帰らされた場合のことを考えると、それもまた不安で。その後が本当にまた地獄が始まるのかなって。

最後の晩餐

長姉:私の人生においてあんたの存在は大きかったよ。大きかったよ。

スイスで救いに思えた出来事

それまで頼らなかった入浴介助を姉たちに頼んだ女性。

次姉:周りにそういう助けてくれてる人、家族がいる、そういう力が自分にはあったんだということを自分でわかるようになったんだよね、っていうことを言ってきたんですよね。

長姉:ありがとうありがとうっていう気持ちをよく言ってたなぁと思って。こんな○○ちゃんの言葉なり表情なりを見ていたら、大事な家族を安楽死で見送るというのは、やっぱり、やっぱりつらいんだけど、苦しまずに楽にさせてあげることができるって思ったら、私たちが迷っちゃいけないなって。

安楽死を行う施設へ

安楽死を行うまでのプロセス

  • 書類に署名
  • そしてベッドへ
  • 点滴は自ら開始するため手順の指導を受ける
  • 点滴を始めると数分で死に至る
  • 警察に提出するためビデオ撮影が行われる

女性:じゃあ開けます。ありがとね色々。

姉たち:○○ちゃんありがとね。

女性:こちらこそありがとう。最後にこんなに見守られるなんて想定外、ほんと。

姉たち:ごめんね。楽になれるね。

女性:そんなに身体つらくなかったよ。病院にいつも来てくれたから。すごく幸せだった。

女性の最期の言葉は『すごく幸せだった』というとてもポジティブなものでした。

編集された映像なので正確な時間は不明ですが、OAでは点滴を流し始めてから1分15秒ほどで穏やかに眠るように、息を引き取っていました。

医師による死亡確認が行われ、女性は52年の生涯を自らの意思で終えました。

日本で安楽死は認められていないため遺体は持ち帰らず、遺灰はスイスの川に流されました。

その後の家族の想い

スイスで過ごした時間があったからこそ安楽死と向き合うことができているという残された家族の思い。

長姉:幸せだったよって言ってくれたんですけど、それは私たちにとって、その言葉はこれから生きていこうとする私たちの気持ちの中には、その言葉があるからこれから生きていけるなという思いでおります。最近になって本当にいないんだなぁって。無性に会いたいな。。。

そして。

私たちは命の終わりをどう迎えるのか、大切な人をどう見送るのか

という言葉で番組は終わりました。

考え続けるしかない

番組では同じく多系統萎縮症を患い、家族とともに生きることを選択された方も取材されていました。

今回は安楽死を選択された女性のエピソードのみを書き起こさせてもらっています。

まだ自分の中で咀嚼しきれていないので、考えや気持ちを文言化するのはやめておきますが、安楽死を否定的に捉える感情がないことは断言できます。

他人の死生観に口を出すつもりは微塵もありません。

何年後か、何十年後か。

自分自身の将来に備えて、スイスに行かねば安楽死を選択できない状況が改善されていることを願うばかりです。

妻より数日だけ長く生きられればいいなと。

そして逝きたい時に逝かせてもらえたらと。

決して悲観的ではなく、そう思います。

映画『ハッピーエンドの選び方』

安楽死について考えるきっかけに

発明家の男性は友人の死を助けるアイテムを生み出します。

噂が広がりそのアイテムを求める人が殺到。

男性の妻はそんな安楽死マシンにいい感情は抱いていません。

しかし妻が病に冒されたことで状況は一変。

安楽死マシンを使いたい妻、絶対に使わせたくない夫。

生きること、死ぬことへの夫婦の葛藤が描かれています。

安楽死を遂げるまで

宮下洋一著

読もう読もうと思っててまだ最後まで読めてないので、読後に感想は追記します。NHKの番組にも出てきた『ライフサークル』『エリカ・プライシック医師』も登場しています。

POSTED COMMENT

  1. みー より:

    私も番組拝見しました。色々考えさせられましたが、何が正しいのかとかはやはり簡単には答えが出ないと言うか、それは考え方は人それぞれだから。私自身はハルさんと同じで、日本でも安楽死が出来るようになればと思います。

    • ハル より:

      スイスが多様な議論や投票を経ての今だとすると、日本は議論すら盛り上がってない時点でスイスに何周もの遅れを取っていることになります。長生きはしたいですが、逝きたい時に逝けるようになっていればいいなと思います。将来を現実的に捉え、それなりに悲観している政治家がいないと難しいのかな、とも思いますが。議論の広がりを願うばかりです。

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