軍隊では解決できない問題を別のアプローチで解決しようと、マイケル・ムーア監督がヨーロッパ諸国に乗り込み、他国のいいところを盗む(見習う)映画『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』
マイケル・ムーア監督がまず訪れたのは僕の大好きな国・イタリア。
イタリアにおけるキーワードは『有給休暇』
人生仕事漬けの日本人には考えられないような衝撃の事実が描かれてます。
僕は会社勤めをすることなくここまで生きて来ましたが、イタリアみたいな勤労環境なら会社勤めをしてみたいと思っていたかもしれません。
もくじ
イタリア人夫婦の有給休暇実態に驚愕
マイケル・ムーア監督のターゲットとなったのは警察官のジョニーと服のバイヤーをしているクリスティーナ夫妻。
監督は延々と二人からバカンス自慢を聴かされることになります。そのバカンスの礎となる有給休暇の超恵まれた実態に、日本人ならカルチャーショックを受けること間違いなしです。
クリスティーナ:大抵冬の間に1週間と、6月に1週間ね。結婚記念日だから。8月には3週間。イタリアでは8月は閑散期なの。
ムーア:有給休暇?
クリスティーナ:もちろん。だって毎年30〜50日は有給がある。
ムーア:週5日勤務として7週間分?
クリスティーナ:祝日もある。
ムーア:何日?
クリスティーナ:12日。
ムーア:2週間か。
クリスティーナ:あ、守護聖人の日も。
ムーア:祝日?
クリスティーナ:市のね。
ムーア:それも有給?
クリスティーナ:もちろん。結婚するとさらに15日間もらえる。
ムーア:待った。有給休暇が15日?
クリスティーナ:ハネムーン用。
ムーア:ハネムーンにまで給料が?
クリスティーナ:そうよ。もちろんよ。イタリアでは12月に上乗せ給与が。13月分よ。12か月経つと13か月目の給与が出るの。
ムーア:ちょっと待ってよ。実際には働いてない空想の月だろ?
クリスティーナ:なのに1か月分もらえる。
ムーア:金額は?10%分?
クリスティーナ:丸1か月分よ。休暇を使い切れなかったら前年分を翌年に繰り越せるの。無駄にならない。
ムーア:嘘を言うな。絶対嘘だ。
クリスティーナ:彼に言って、休暇が何日か。
ジョニー:80日間。でも彼女が忙しくて使えない。
クリスティーナ:産休は5か月間もらえるわ。
ムーア:それも有給?
クリスティーナ:もちろんよ。
年に何度も1週間以上の休みがあって、しかも有給。さらに結婚で15日、産休で5か月の有給休暇もある生活って『どこの楽園ですか?』って話。
13か月目の給与の話に関しては日本にもボーナスが出(る人は出)るのでイーブンだとしても、やっぱり連休のスケールが違うし、休み慣れしたイタリア人はバカンスを楽しむ術を知っています。
毎月の給料は生活費として使ってしまうため、丸々1か月分もらえる13か月目の給料がバカンス費用になるんだとか。1か月分の給料があれば心おきなく休暇を楽しめそうですね。
日本ではまもなく10連休(4月27日〜5月6日)が訪れようとしていますが、10連休だと言われたところで仕事の人は仕事だし、休みだとしたら無給だし、それで『盛り上がっていこー!』と言われましてもねぇ。
イタリア企業の従業員に対するホスピタリティに感動
マイケル・ムーア監督が次に訪ねたのはドルチェ&ガッパーナ・フェラガモ・ヴェルサーチなど有名ブランド服の製造を担う『ラルディーニ社』
職場環境や経営者の考え方が日本と違いすぎて泣けてきます。
ラルディーニ社の昼休みは2時間
午前中の終業ベルが鳴ると同時に仕事の手を止める従業員たち。そして各々が向かった先は何とわが家。ラルディーニ社の昼休みは2時間。家に帰ってゆっくりと料理をし、家族団欒のひとときを過ごす様子が映し出されていました。
経営陣の思い
- 有給休暇に抵抗はない
- 経営者の喜びであり従業員の正当な権利
- 彼らも楽しむべき
- 休暇を取ることでストレス解消になるし発散して職場に戻れる
- 金持ちになる意味は?
- 何かメリットがある?
- 社員が笑顔で働いているのが一番!
- 心の交流が持てるわ
- 家族を想う時間が持てる
というパーフェクトアンサー。
しあわせな人生って?
あくまでも映画のワンシーンなので、イタリアの労働環境すべてが映画に出てきたような理想的な状況というわけでもないでしょう。
でも、イタリアの有給休暇が多いのは疑いようのない事実で、家族で過ごす時間を何よりも大事にするお国柄なのは有名な話。
有給がほとんどなく、生活維持のために仕事に忙殺されなければならない日本的ライフスタイルと比べると、あまりにも眩しくてうらやましい夢のような生活です。
日本は世界的に見れば恵まれた国であることは間違いない。
しかし、未来に微塵の不安も抱かず、しあわせに満ち溢れた日々を過ごせている人が少数派であることも間違いない。
そして並大抵の努力では日本で自由な生活を獲得することはできません。休みは少ない。休日に対して給料をくれない。満足いくだけの給料を得るのは難しい。だから仕事から逃れられない。その上、子育てに対する寛容さがあるとも言い難い。
日本では当たり前のことでも、世界的に見れば当たり前ではないところもある。
若者たちにはできるだけ早くその現実に気付いてもらいたい、というのが若い時に気付けなかったアラフォーの僕の願いです。
この映画を見て、何を感じ、どう行動を変えていくか。
イタリアパートはクリスティーナの言葉で締めくくられます。
『人生は一度だけ。二度と戻らない。目一杯楽しまないと。』
自分の常識をひっくり返すには持ってこいの映画です。
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